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<<第12回:「飽くなき継続的改善へのモチベーション」

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挑戦する製造業向け情報誌!「EMIDAS China Vol32 2010-新春号」エヌシーネットワークチャイナ別ウィンドウが開きます発行)掲載

第13回 「中国現法におけるSCMの重要性が高まっている」株式会社アットストリーム 謝 端明

 昨年(2009年)は6回に分けて、3つの希少資源を中心に、工場経営の効率化に焦点を当てて、本講座のテーマ展開をしてまいりました。
第7回:「人」の潜在力を最大限に伸ばし、危機を乗り越えよう
第8回:工場スコアカードを作ろう
第9回:ベスト・ワースト法で課題を発見しよう
第10回:高い目標に挑戦しよう
第11回:改善を実行して成果を刈り取ろう
第12回:飽くなき継続的改善へのモチベーション

 今年は工場経営から事業経営に焦点を当てて、本講座のテーマ展開をしていきたいと考えております。しかし、事業経営となると、内容もさらに広範にわたるので、今年はSCM(Supply Chain Management)に絞って、進めてさせていただきます。

1、SCMとは

(1)SCMについて

 SCM(Supply Chain Management)とは、事業や会社の経営効率の向上を実現する経営管理手法の一つです。
 サプライチェーンは、文字どおり「原材料や部品の調達から最終顧客までの製品やサービスの流れを一つの供給の連鎖」ととらえたものです。この連鎖には、原材料メーカー、部品メーカー、製品メーカー、卸売業、小売業、物流業、メンテナンスサービス業などの企業が加わり、一般的には、イニシアチブをとる大企業が中心になって連鎖を構成します。ですから、サプライチェーンマネジメントとは、「サプライチェーンの全体最適を実現するため、構成企業間(プレイヤー)で取り交わす情報をベースに、製品やサービスの流れを統合的に管理する手法」という意味になります。

【(図1)SCMの概念】

(図1)SCMの概念



 別の言い方をすれば、SCMは供給業者から最終消費者までのサプライチェーン全体の流れを統合的に見直し、業務プロセス全体の効率化と最適化を実現するための経営管理手法です(図1)。



(2)企業内SCMについて

 広義的なSCMの概念について述べましたが、その概念を元に、製造企業におけるSCMというイメージにより的を絞るため、あえて“企業内SCM”という表現を使わせていただきます。
 企業内SCMとは、企業における商品開発、資材調達、製品の製造、製品の発送、製品の販売といった各業務プロセスでの在庫量やモノの滞留時間などを削減することで、顧客には最短かつタイムリーに製品を供給し、また、サプライチェーン全体におけるリードタイムの短縮、在庫の縮小、設備等の稼働率向上などによるコスト削減、経営の効率化を目指す、と定義します(図2)。



【(図2)企業内SCMの概念】

(図2)企業内SCMの概念



 SCMを歴史的に見ると、上流にあたる製造業を中心に発展してきた流れと、下流の流通業や物流業から発展してきた流れとがあります。いずれの場合も、SCMの導入は、「在庫や仕掛品の削減」、「品切れ防止」、「生産や供給のリードタイムの短縮」などを実現することを目的としています。SCM導入の動機は、企業が収益力を向上させ、キャッシュフローの増大をますます重視するようになってきたからにほかなりません。キャッシュフローを重視する経営では、在庫やリードタイムが限りなくゼロに近づくことが理想であり、SCMはこの理想に近づく効果的な手法として、導入企業が増えているのが事実です。

2、中国現法におけるSCMの重要性

 中国に製造拠点を展開していく日本企業は今後も増えるでしょう。
 しかしながら、製造業のグローバル化の進展により、中国の製造拠点に求める要件も変わってきています。初期(1990年代まで)の単純な低コスト労働力を追求するための単一製品の組立を中心とする製造機能から、中国現地にある豊富な部品サプライヤの力を取り組んだ多品種少量生産の製造拠点に変身してきたというのが多くの企業に見られる現象です(2000年代から)。これからは、このような多品種少量生産の製造拠点から、さらに物流機能を加えた形の「製造・供給拠点」になり、また中国のマーケットを狙った「現地製造・現地販売拠点」になることが求められることになるでしょう。
 このような流れを受けて、日本本社・中国製造/販売拠点および中国以外の第三国の製造・販売拠点間における業務プロセスの最適化を真剣に図らなければ競争には勝てなくなり、中国の現地法人におけるSCMの重要性がますます高まってきています。特に下記に述べるような経営機能がより求められるようになってくるでしょう。

(1)モノの流れの管理の最適化機能

 SCMを導入されている企業が目指す目標の一つにはモノの流れを適切に管理することです。
 いままでは、日本の本社からの生産指示に従って、要求納期通りに生産し出荷できれば、任務完了となります。その後の業務プロセスは物流会社に任せたり、本社の管理下に移したりしているケースが多く見受けられました。
 しかし、生産の多品種少量化の傾向により、モノの流れの管理は、在庫を削減し、出荷までの時間を短くすることへと目的がシフトしてきました。生産における清流化やJIT化も求められ、これを実現するには、物流網の整備や即納体制の確立なども含めた多くの企業の緊密な連携が必要となり、一連のモノの流れにおける全体最適化管理機能の実現を目指さなければなりません。

(2)情報の流れにおける管理の最適化機能

 上述のモノの流れを全体最適化の視点で管理するには、モノの流れと同期化された情報の流れが必要となります。
SCMにおける情報の流れで最も重要なのは製品やサービスの需要予測です。生産計画や資材調達計画および販売計画などは、需要予測を元に立てられるため、これらの情報の流れはモノの流れとは逆に、需要から供給へという流れで進んでいきます。当然、この需要予測の精度が在庫量や物流経費などを大きく左右するファクターとなります。


【(図3)SCMにより、業務が分散管理から、統合管理へ進化する”】

(図3)SCMにより、業務が分散管理から、統合管理へ進化する”

(3)業務プロセス全体における最適化機能

 日本本社、日本以外の他の製造拠点、自社の中国製造拠点、他社の中国製造拠点で構成されるサプライチェーンが多く見られます。このサプライチェーンに参加する企業は常に全体最適を目指さなければ、経営や収益に貢献できるSCMが実現しません。たとえば参加企業が自社の最適のみを求めても、部分最適が実現するだけで、全体最適は実現できません。
 このようなサプライチェーンのどこかにボトルネックがあると、そのネックがサプライチェーン全体に影響を及ぼし、ネックに当たる部分のレベルが全体のパフォーマンスを決めることになります。
従って、すべての参加企業は全体最適を意識し、全体の流れがスムーズになる努力をしなければならなりません。特に日本本社と自社の中国製造拠点および出荷先である顧客という三者間における需給バランスの最適化を図り、既存のビジネスプロセスを革新して、経営効率を向上させることで、勝てるポジションを確保しなければなりません。

 そのために、自社のサプライチェーンに関連する各企業間における連携強化をどう実現するかについては各社が経営戦略レベルで常に意識しなければなりませんし、各階層や部門において解決すべきさまざまな課題を明確にし、課題に取り組む姿勢と仕組みを構築しなければなりません。いままでに各拠点別に分散管理されてきた業務プロセスをSCMのプラットフォームにおいて統合管理を行えるように進めなければなりません(図3)。

  最後に、今年のテーマについて、ご紹介しておきたいと思います。
  今年は4回続いて、SCMに関するテーマを取り上げる予定です(詳細は下記の通り):
  第14回---SCMにおける物流は宝の山である!
  第15回--- SCMにおける計画の重要性を見落とすな!
  第16回--- SCMの成否は組織マネジメントにある!
引き続き、ご期待とご声援をよろしくお願い申し上げます。
 2010年も皆様にとってはよい一年でありますように!

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