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【WEBセミナー】DX for SX:先進企業のSXに学ぶデジタル技術の活用法Atstream Xross Talk

WEBセミナー『DX for SX:先進企業のSXに学ぶデジタル技術の活用法』 (Atstream Xross Talk)にお申し込みいただきありがとうございました。後記として、トークを企画した背景と骨子をまとめました。
文:アットストリームコンサルティング株式会社 渡邉 亘

私たち企業は、お客様や株主のために、日々事業の改善を続けて、業績を向上することが自社の持続的成長につながり、ひいては世の中のためになると信じてきました。しかし、振り返ってみると、気候変動や環境問題、人権問題、貧富の格差など、世の中の社会課題は解消されるどころかどんどん顕在化してきている状況です。
「我々が信じている経営のやり方は、実は間違っているのではないか。」
そのような問題認識から、海外の先進企業で社会全体をステークホルダーと捉えるサステナブル経営が生まれ、近年その流れが日本にも押し寄せてきています。

今回のウェビナーでは、グローバルITリーダーであるオラクル社の先駆的なサステナビリティトランスフォーメーション(SX)への取組みを雛形に、サステナビリティに立ち向かう経営の基本姿勢のあり方を学びました。そして、実際にデジタル技術をサステナブル経営の実現に活かしている先進事例を紐解いていき、SXのためのデジタルトランスフォーメーション(DX)のあり方や関連するIT技術、アプローチ方法についてディスカッションいたしました。

■サステナブル経営:社会課題を経営の中心に据える

近年、普遍的な目標としてのSDGsが急速に浸透してきており、企業はこれをESGの観点でとらえ自社がどのように社会課題の解決に貢献していくのかを考えるようになってきています。
このためには、事業が社会課題に与えるポジティブな影響を増強すると共に、事業活動がもたらすネガティブな影響を抑止するという双方をバランス良く経営の中心に据えて戦略を描いていく必要があります。これまで、企業は全社業績への影響の少ない社会貢献活動という形で、ネガティブインパクトへの取組みを行ってきており、経営戦略とは切り離された独立した施策としての活動することが多くございました。
サステナブル経営を推進するにあたり、従来のポジティブな価値創造中心の経営戦略とは相反するネガティブインパクト対策のための施策が対立する構造(トレードオフ)が生じるケースが頻発しております。

ウェビナーでは、「資本主義経済 vs 社会課題の解決」「新たな社会課題 vs 別の新たな社会課題」といったトレードオフの構図を提示しながら、サステナブル経営ではトレードオフを解消する戦略と施策を考え抜くことが核心となることをお伝えし、サステナブルトランスフォーメーションを考えていくうえでの認識合わせをいたしました。



■2000年代から社会課題に向き合うオラクル社のサステナブル経営

今回のウェビナーでは、サステナブル経営のお手本として、オラクル社のサステナビリティに対する考え方や取組みについて学びました。
日本では、ここ数年で広まってきた“サステナビリティ”のキーワードですが、オラクル社は、2008年に早くもビジネス戦略と統合化されたサステナビリティ戦略を策定しています。「オラクル1社ではできることは限られるが、グローバル数十万社のお客様への製品・サービス・施設を提供することで、サステナビリティ観点からも世の中に大きなインパクトを与えることが自身の使命である。」という思いがオラクル社の中での原動力になっていることを伺いました。

“The earth is a stakeholder”(地球がステークホルダー)を掲げてチーフサステナビリティ―オフィサーや最高意思決定機関を設置し、更に事業部門の計画達成に向けた活動の推進や支援をおこなう組織を置くなど、全社・全社員が役割を担うための体制を構築しています。
その後、事業としてはサービス型ビジネスに舵を切り、同時に循環型経済・環境配慮に基づくクラウドを開発・提供することで、オラクル社のサステナビリティ実現に向けた取組みを加速させておられます。
その結果、2025年に向けたチャレンジングな目標のうち、2020年にはその一部を既に達成している、という目を見張る成果を上げています。

このようなオラクル社の取組みから、社会課題を中心に据えて、既存ビジネスとの融合化を図ることは、企業の中長期的な持続的成長にとって極めて有効であること、また、その推進に経営がコミットし全社を挙げて取組むことの重要性を理解しました。



■先進企業はデジタルをどのように活用してSXに取組んでいるのか?

サステナブル経営を実現するためのデジタルの貢献パターンを提示し、先進事例を学んでいきました。



(1)アプリケーション
SaaSを利用して輸送上発生するCO2排出量を9%削減した事例を紹介いただきました。
特筆すべきは、サステナブルの観点を重視するとプロジェクトのゴールが今までと変わる点であると善浪様は指摘しています。
従来であれば業務効率化やコスト削減がゴールとなっていたプロジェクトも、今後は社会課題を解決するという方針のもと、プロジェクトゴール自体が変わってくるのではないか、という実感を持っているとのことでした。

(2)先端テクノロジー
テクノロジーとサイエンスを組み合わせて、社会行動を変容しエネルギー消費量を削減する事例と、ブロックチェーンなどの技術を利用したサプライチェーンのトラッキングを行う事例を紹介いただきました。
新たな技術を利用して、社会課題を解決するためにはオラクル社のようなリーダー企業がスタートアップを支援し、事業を生み出し育てていく仕組みを作っていくことが大切であると考え、オラクル社がスタートアッププログラムを提供していることも伺いました。

(3)プラットフォーム
プロジェクトへの投入資源を最小化した成功例として、1年の短期間で基幹業務システムを導入する事例をご紹介いただきました。
DXが遅れているといわれている日本企業において、従来のやり方でデジタル化を加速しようとしても、サービス提供側のITベンターやシステムインテグレーターのリソースがひっ迫してしまい、これがネックになってきてデジタル化がなかなか進まなくなるという事態が生まれるのではないか、と善浪様は懸念しています。既に多くのプロジェクトで、IT技術者などのリソース不足が顕在化してきている中、プロジェクトの投入資源を最小化する解決策として、SaaSの採用が有効な手段であることを提示いただきました。

■SXのためのテクノロジーは既に揃っている!

日本企業のサステナブル経営に向けた取組みという観点では、統合報告書やTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)にどのように対応するかと言った開示に向けた取組みが先行しています。しかし、今後本質的な取組みを進めていくためにはPDCAを回していくための業務やシステムが必要となってきます。これらを実現するためのソリューションは、どこまで揃っているのかを再確認すため、オラクルソリューションをご紹介いただきました。



テクノロジーは、既に揃っていることを踏まえ、「将来的には、サステナビリティの文脈の中で世の中全体が見える化してくる。これまでは自社の経済有利性だけを考えて対処していたことが、社会全体として取組むことになってくる。特定の領域は今以上に標準化が進んでいくし、標準化する領域は徹底的に標準化していくことになる。そうなると、自社の優位性を担保する領域がどこなのかという見極めがこれまで以上に重要になってくる。」と善浪様は将来についての見解を述べられました。

■意識改革がDX for SXを加速する

既にSXを実現するためのテクノロジーは揃っていて、後は各企業が意識改革を進め、着実に取組んでいくという状況にあることを確認いたしました。



サステナブル経営を実現するための取組みは、大きく3つのポイントがあります。

一つ目は、サステナブル経営への意思を明確にする、と言う点です。オラクル社の事例で学んだ通り、本質的にサステナブル経営の実現に向けて取組むためには、そのための体制づくりや意識改革など多方面でやるべきことがあります。しかし、開示までこぎつけたところで、ひと安心してしまってその後の取組みが止まってしまっている会社も見受けられます。そのため、どのようなサステナブル経営をどのレベルまで、いつ実現するのか、という経営のスタンスを明確にすることが重要となります。

二つ目は、トレードオフの関係ある課題に対して、現実的な打ち手を考案して計画に落として活動を開始し、その進捗を管理する、ということです。
前述の通り、これまで多くの企業では、ポジティブインパクトとしての価値創造とネガティブインパクトの解決を別々の取組みとして実行してきました。サステナブル経営では、これらを整合させて両方を達成していくことを目指すため、ここに多くのトレードオフが発生します。それぞれのゴールやその成功要因が対立する場合、DXを最大限活用して解決策を探り、現実的で挑戦的なゴールと打ち手を再設定する必要があります。現実的で具体的な打ち手を示すことで、全社員のSXへの意識が変わってきます。

三つ目は、SXのためのDXを行う取組みにおける“X:トランスフォーメーション”を強く意識したプロジェクト運営を行うことを提案しました。
現在でも、多くのシステム導入プロジェクトでは、スローガンは“改革”としていても、結果的に多くの独自カスタマイズを採用してしまい、大きな負の遺産を作り上げてしまっています。今一度、“我々はトランスフォーメーションするのだ”ということを再認識し、標準的な機能を搭載し、最新技術で進化し続けるデジタル基盤を作り上げることが、サステナブル経営におけるプロジェクトのゴールであり、成功の基準になっているということを再認識する必要があります。

■デジタルと意識改革がサステナブル経営を支える

今回のウェビナーでは、サステナブル経営を実現するためにはデジタルの活用と意識改革がカギとなる、と言う点を、オラクル社の先進事例を紐解きながら考えていきました。
日本企業において、サステナブル経営への取組みはこれから本格化してくるものと確信しています。本テーマは、一企業に閉じて解決できるものではなく、産業レベル、社会レベルで取組んでいくべきものですから、これからも皆様と議論・協力しながら、日本企業に合ったサステナブル経営の姿を作りあげていきたいと考えています。

トークでお伝えした想い・ニュアンスが文章では伝わりにくいと思います。興味がございましたら、ご説明・ご討議の機会をいただければと思います。お気軽にご連絡・お問い合わせください。


このような方におすすめのセミナーです!


■サステナブル経営実現のためのデジタル活用を検討されている方

■サステナビリティに寄与するテクノロジー活用事例に関心のある方

■サステナブル経営導入を推進または検討されている方

【セミナープログラム】

3月16日(水)
15:00 – 16:00

    サステナブル経営に寄与するデジタル技術の活用法について   

​グローバルITリーダーであるオラクル社の先駆的なサステナビリティトランスフォーメーション(SX)への取組みを雛形にサステナビリティに立ち向かう経営の基本姿勢のあり方を学び、実際にデジタル技術をサステナビリティ経営の実現に活かしている先進事例を紐解いていきます。
そして、SXのためのデジタルトランスフォーメーション(DX)のあり方や関連するIT技術、アプローチ方法についてディスカッションいたします。

【Guest Speaker】
善浪 広行(よしなみ ひろゆき)氏
日本オラクル株式会社
常務執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括


2002年 新卒として入社、営業として金融業界を担当 の後、新規事業立ち上げ、事業開発部門等を経て、デジタル時代の営業組織(オラクル・デジタル)を新設し、SaaS Applications事業を通じて自社のトランスフォーメーションを牽引。
10年以上先を見据えて日本のお客様のDXをお手伝いしたいと真剣に考え、真摯にお客様に向かい合う。

【Moderator】
安達 悟志( あだち さとし )
アットストリームコンサルティング株式会社
代表取締役


外資系IT企業、外資系大手コンサル会社を経て、アットストリームを共同創業。90年代のインターネット革命の前夜から一貫して、デジタル技術を活用して日本企業のビジネス革新や経営力強化を実現する方策の提案やコンサルテーションを実施。
DXに後れをとる日本社会に対する危機感を胸に、お客様と同じ未来を描き共に邁進するコンサルティング会社を牽引する。

【Xross Talk Producer】
渡邉 亘( わたなべ わたる )
アットストリームコンサルティング株式会社
マネージングディレクター


大手システムインテグレーターでデジタル基盤エンジニアとして最新テクノロジーの研究・実装に邁進。アットストリーム参画後は製造業の工場改革・IoT化やグローバル企業経営管理の高度化、基幹業務のDXを支援。
新たなコンサルティングスタイルで日本企業のマネジメント改革に貢献したいとの思いから「コンサル×デジタル」の新たなサービス開発を主導する。

【開催要綱】

タイトル Atstream Xross Talk
DX for SX:先進企業のSXに学ぶデジタル技術の活用法
日時 2022年3月16日(水)15:00 – 16:00
参加費 無料(要事前申込)
会場 オンライン(zoom)
ご案内状 3月16日開催DXforSX先進企業のSXに学ぶデジタル技術の活用法のご案内.pdf
申込ページ https://atstream.seminar-manager.com/xrosstalk0316/event
お申し込みにあたって 日本オラクル社と競合する可能性のある企業様はご参加をお断りさせていただく可能性がございます。予めご了承ください。
お問い合わせ アットストリームセミナー事務局 山本 seminar@atstream.co.jp 050-3733-6913
主催 アットストリームグループ

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