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第8回 「工場スコアカードを作ろう」株式会社アットストリーム 森本朋敦

前回の当スクールでは、世界不況の中で「人」の潜在力を伸ばそうというお話をしましたが、そのためには 「我々はどこに向かおうとしているのか」 を明確にする必要があります。

皆さんの工場では中期計画や予算編成の時点で工場方針や業務計画が立てられていると思います。
ただ、取り組み課題が箇条書きされているものの、どういう構造でそのような課題が設定されているのか理解しにくいことが少なくありません。

そこで今回は「我々の工場は何を目指しているのか」ということを構造的に簡潔に全従業員と共有し、工場の皆さんの活動のベクトルを合わせる方法について説明します。

1.工場方針を戦略マップの形で表現する

工場方針や中期計画のような「工場として何を目指すか」ということを表現する手法として、バランスト・スコアカードの考え方における「戦略マップ」というツールがあります。

戦略マップは通常、「財務の視点」、「顧客の視点」、「ビジネスプロセスの視点」、「学習と成長の視点」という4階層で成り立っています。

企業たるものはまずは経営成果を上げないと存続・成長できませんから、方針や目標の最上位には財務的成果がこなければなりません。 これが「財務の視点」の部分です。

しかし、財務的成果は何もしなくても勝手に上がるというものではありません。
特に売上は顧客からしか得られませんから、財務的成果を上げるために顧客に対してどのような価値を提供するのかというのが「顧客の視点」です。

次に、顧客が求める価値を提供したり財務的成果を上げるためには、それに見合うビジネスプロセスが自社に構築されていないといけません。 これが「ビジネスプロセスの視点」です。

最後に、そのようなビジネスプロセスを構築・運用するのは人や組織ですから、この部分が「学習と成長の視点」というわけです。

「これを達成するためにはこれが必要」というように上位の視点から下位の視点へと整理を進めていくと考えやすいと思います。

またいったん書き終わったら今度は「これをやればこれができる」というように、因果関係を下位の視点から上位の視点に矢印でつないでみてください。 もし矢印でつながらなければ、取り組みテーマに抜け・漏れや不整合があるということですので、今一度見直しが必要です。

食品メーカーの一例を図表1に挙げておきますので参考にしてください。

2.戦略マップにKPIを設定する

戦略マップが出来上がると、次にそれぞれの取り組みテーマごとにKPIを設定します。

KPIというのは、Key Performance Indicatorの頭文字をとったもので、重要業績指標ということです。 つまり、それぞれの取り組みテーマがうまくいっているかどうかを定量的に測る指標のことです。

「測定できないものは管理できず、管理できないものは実行されない」という考え方から、取り組みを本当に実行するためには、その状況を測定するための指標をおく必要があるのです。

例えば先ほどの食品メーカーの戦略マップにKPIをおいたものが図表2です。

この中の「品質管理の徹底」ができているかどうかを判断しようと思うと何らかの指標がいるわけで、これを「不良率」で見ようということです。

これなどは比較的分かりやすい例ですが、例えば「モチベーションの向上と活性化」というのを何で測るかというのはなかなか難しい面があります。

モチベーションが向上したり従業員が活性化している状態を端的に表す指標は何かを考えないといけません。

優秀な従業員がよく辞めていくような職場の場合は、「離職率」が下がってきているというのがモチベーションが向上した状態と捉えることができるかもしれません。

この食品メーカーの場合は、モチベーション向上や活性化の目的は戦略マップの矢印の先にある「生産性向上」や「在庫削減」にあり、生産技術や製造作業が改善・革新されることが重要なので、改善活動が積極的に行われている状態が活性化された状態と考え、「提案件数」をKPIとして設定しています。

3.KPIをスコアカードにする

KPIを設定できれば、それぞれの指標に目標値を置きましょう。

せっかく測定する指標を設定しても、目標水準がなければどこまでを目指すべきかが分からないからです。
目指すレベルが分からないということは、難易度や注力度が分からないことになってしまいます。

この指標と水準を一覧にしたものがスコアカードです。

スコアをつけないサッカーをやっても面白くないのと同じように、スコアをつけない活動では活性化できません。

KPIには目標を設定して必ず実績と対比してください。

そしてできればそれを工場の各所に貼り出して、我々の工場はこの部分はうまくいっているがこの部分は未だうまくいっていないということを皆で共有してください。

そうしていると、スコアがよくなっているかどうかをいつの間にか皆が気にするようになり、改善・改革活動にドライブがかかるようになります。

また、もしKPIの実績値を毎月は取れないような指標であれば、別の指標に置き換えたりしながら、皆がワクワクするような仕掛けを工夫してください。

このように工場の向かうべき方針を明らかにした後で、では実際にどのように改善・改革活動を進めていくか、という点について次回以降で説明していきます。

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